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IFFJ2016「プレーム兄貴、お城へ行く」字幕翻訳

東京と大阪のIFFJ映画祭でやっている、Salman Khan主演映画
「プレーム兄貴、お城へ行く」
(原題: Prem Ratan Dhan Payo(愛という宝石の富を手に入れた))

 

今年のIFFJは、奥深いお話の作品が多いようですが、

「やっぱり、やや古風なつくりの絢爛豪華系インド映画で、ハッピーの極みにのぼっちゃいたいの!!」

という人には、このプレーム兄貴がおすすめです。

愛すべきご都合主義も忘れ去りそうな、怒涛の色彩にまみれた164分!

ぐちぐち言うかわいいヒロイン!心優しい兄貴!そしてキラキラ!キラキラ!!

 

上映スケジュールはこちら。
http://www.indianfilmfestivaljapan.com/schedule.html

 

今年は、この「プレーム兄貴、お城へ行く」の日本語字幕を担当させていただきました。

去年の「Mardaani」と違って、ザ・娯楽映画なので、翻訳も簡単になるのかと思いきや、

スラングや、比喩表現、直訳しただけではニュアンスも意味も伝わらない表現が相当数ありました。

 

追いうちをかけてきたのが、英語字幕。

ヒンディーから訳したあと、参考程度に英語字幕をチラッと確認するのですが、

上記のような理由からなのか、ヒンディーで喋っていることと英語字幕に書かれていることが異なる箇所も「Mardaani」よりだいぶ多く、

チラッと見るたびに、無駄に不安になるという…。

(あ、その参考とした英語字幕はDVD字幕ですので、IFFJのせいではありません。笑)

 

外国語映画は、「作品によっては英語字幕から訳すこともある」と小耳にはさんだことがありますが、

「それは伝言ゲームすぎる暴挙だ」と、しみじみ思いました。

 

特に歌など、ヒンディーネイティヴの間ですら解釈が分かれる箇所もあります。

最終的には翻訳者が、前後の関係を見たり、インド文化のあれこれに照らし合わせたりしながら、どこかに落とすことにはなりますが、

さすがに、その根拠が伝言ゲームというわけにはいかないですね。

 

以下、某所に書きおとしていた字幕に関するメモから少し転記しておきます。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

字幕は、短時間で自然に「読み切れ」なければならないので、
それぞれ、適切な文字数で翻訳しなければなりません。

 

原語の本当の意味は、
「全字幕で根こそぎ」とは言いませんが、
「その字幕によっては大半を」、音の世界だけに封印することになります。

 

例を挙げます。

 

【元の台詞】−−−−−−−−−−−−−−
ダシャラタさんのような経験があるのならば、
どうして、弟ラカンのようなスピードで、あわあわとやっているんだ?

जब दशरथ sir का experience है तो फिर लखन bro की speed में क्यों भाग रहे हो ?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

ダシャラタとは、ラーマ神の父。
ラカンとは、ラーマ神の弟ラクシュマナのこと。

 

そのあと、

「よぼよぼしているとっつぁんには無理だ」というニュアンスで

「Young Indian(つまり自分)にやらせろ」という台詞が続きます。


「ラカン」はあまり知られていない呼称だから「ラクシュマナ」にするとして、

「ダシャラタ」と「ラクシュマナ」を残すとどうなるかを考えます。

 

【いいとこ】

・一部の方が嬉しい(かもしれない)

・翻訳者が自己満足でホクホクする(ただし、この動機で決めるのは論外だと思っています)

 

【よくないとこ】
・過半数の観客が「え?誰?」となることが予想される
・ダシャラタ+ラクシュマナなら11文字、あと使えるのはたった6文字前後。助詞込み6文字で文脈を伝達するのは困難
・劇中に名前情報がたくさん出てきすぎるのはストレスフルかもしれない(既出の人名を記憶しにくくなるかもしれない)

 

比較するとマイナスが大きい。

 

「いい年して
若者並みのスピードを出すな」
になりました。
さよなら、ラーマーヤナ!

 

一方、いい感じで、細かい表現とニュアンスの両方を残せたところもありましたが、
全体として、
「できるだけ多数の人に、ストレスなく観てもらえるラインはどこか?」
という意識をもち続けながら訳しました。
そう考えると、さよならするのも苦行ではなく。

 

今回も、勉強させていただきありがとうございました。

 

 

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